tanakajiroの日記

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モチベーション3.0

現在企画中のサービス設計のために読んだのでまとめる。
 
モチベーション3.0
ダニエル・ピンク/大前研一[訳]


【まとめ】
■モチベーション3.0とは
<モチベーション1.0>
食欲、睡眠欲、性欲に代表される生物学的な動機付け
 
<モチベーション2.0>
周囲からの報酬、罰に対して反応する動機付け
 
<モチベーション3.0>
活動自体からもたらせる内的な満足感による動機付け
 
■著者の立場
モチベーション2.0はいわゆるアメとムチによる動機付けであり、
現在のビジネスで広く用いられている。
一方でこのモチベーション2.0にはバグが存在し、
モチベーション3.0にアップグレードをする必要がある。
そのバグは科学的に証明されている
 
■モチベーション2.0のバグ
・創造的な仕事において、
 交換条件つき報酬(AをしたらB)は成果を減少させ、創造性を破壊し、
 好ましい言動を阻害する。
・アメとムチは反倫理的行動を助長し、依存を生み出し、短絡的な考えを促す。
 
■モチベーション2.0が有効な場合
・規則的なルーチンタスクの場合には有効。
・「交換条件つき報酬」ではなく、「思いがけない」報酬であれば
 創造性が必要で右脳を使う仕事も有効な場合がある。
 
■人の行動はタイプXとタイプIに分かれる
・タイプXは外発的な欲求を活力の源とし、外的な報酬と結び付いている。
 →モチベーション2.0による行動
・タイプIは活動自体からもたらされる内的な満足感と結び付いている。
 →モチベーション3.0による行動
・前提としてタイプXとIも最低限の金銭面/公平感は重視する。
 
■タイプIを勧める理由
・タイプIの行動は再生可能資源を燃料とし、
 タイプXの行動は枯渇資源を燃料としているので燃え尽きる可能性がある。
・タイプIの行動を重視する人は幸福感を抱いている傾向にある。
・外発的目標を高く掲げる人は、それを手に入れる可能性も高いが、
 ネガティブな指標(不安、落ち込み)が強まったという調査結果。
 
■モチベーション3.0を発揮するための要素
・課題、時間、手法、チームについて自律性がある(認めらる)こと。
・取り組んでいる課題が本質的に自分の能力と整合しており、
 マスターしてやろう積極的に関与すること。
 →前提:能力は無限に向上すると理解すること
 →前提:苦痛が伴うことを覚悟すること
 →前提:努力、根性、意図的な訓練の必要性を理解すること。
・社会などの利益に貢献する永続的な目的を掲げること。
 
 
 
【所感】
本書では達成目標はタイプXであり、
学習目標はタイプIであるというニュアンスの記述がある。
振り返ってみるに、
自分は語学試験合格という達成目標を立てて勉強して達成したけど、
一時的な幸福感で確かに終わっていたことを思い出した。
日常で役に立たない語学力に苛立ちを覚え、たしかに満足感は一過性だった。
それ以降勉強していない時点でモチベーション2.0で勉強していたことは自明だ。
振り返ってみると、自分はよく2.0で努力してきたなーと思う。
でも、2.0ってすごく便利で、
短期集中型で飽き性な自分には相性がよかったとも思えなくはない。
本書は他者をマネージメントするという視点で書かれているけど、
自分をマネージメントするという視点だと、
場合によっては意図的に手段として2.0使ってもいいんじゃない?と思う。
3.0のマイルストーンという位置づけで、メリハリがつく気がする。
 
本書ですごく面白いなと思ったのは以下の記述。
「自分の望みを実際に手に入れたときさえ、必ずしも自分に必要なものを手にしているとは限らない」
「満足感を得るためには目標設定だけでは十分でない。正しい目標の設定が必要だ」
 
これを自分なりに拡張すると、
『自分で試しにやってみて、実際に満足感が得られたことをベースに目標に設定すれば、高い期待値で達成時に満足感を得られる』という仮説が自分の中で産まれた。
この仮説を是非検証してみたい。